アンニョンハセヨ!松田です。
無事に韓国から帰ってきましたので、約束どおり報告したいと思います。
まず、行く前にアレコレ予習していましたが、そしてその一部をここでも書いていましたが、やっぱり、現地の人と触れて、現地の飯を食ってみて分かったことだらけでした。
と言うことで、韓国の支援の特徴を語る前に、まず韓国の人・文化についてまとめておきます。
※ここでいう「韓国」とは、「たかだか一週間、せまい範囲で出会った人や文化から松田が感じたこと」を指すので、もちろんほんの一部であることは予めお断りしておきます。
韓国の人は・・・
親切(ときにおせっかい)・たくさん飲む(人に飲ませる)・食う(人に食わせる)・たくさん歌う(人には歌わせないで、聞かせる)・たくさん勉強する(子どもに猛勉強をさせる)、そしてエネルギッシュでたくさん働く。
日本で例えるなら、高度経済成長期の雰囲気、一昔前の体育会系の上下関係、農村に残っているような地域共同体、を想像してもらえると近いです。
街のネオンはギラギラ、車はビュンビュン、カラオケはリンダリンダ、です。
というのを踏まえて、韓国における青少年支援は・・・
①ここまでやるか、というくらい手厚い
②学校も含めて機関同士の連携がバッチリ
というのが大きな特徴です。
韓国は超がつくくらいの学歴社会で、公立高校では朝8時から夜22時まで学校に缶詰で勉強させられるなど、青少年にとっては非常にストレスフルな日常です。
さらに家では、親が絶対的な権力を伴って「とにかく勉強して、良い大学に入って、良い会社に入れ。それがお前の幸せだ。」という価値観を(もちろん子どものためを思って)押し付けてくるわけです。
だから、韓国の青少年の課題は、学校内暴力や家出といった、「非行」あるいは学力的についていけないといった「脱落」という形で表出します。
そこで「何人かはそういった過剰ストレスに耐え切れなくなるのも仕方ないよね」ということで、学校内での相談機能や、勉強を教えてくれる学外機関や、衣食住を無償提供してくれる居場所(シェルター)などが、とっても充実しているというわけです。
これはもう、とっても分かりやすい。青少年は明確な目標に向かって激しく学力競争する。大人たちはそこで脱落した青少年を手厚く保護する。やるべきことがハッキリしているわけです。
これに対して、「お金持ちになることだけが幸せなのか?」「勉強さえすれば将来は安泰なのか?」といった問いに対して、絶対的な答えを持たなくなった日本では、何もかもがとっても分かりにくい。
どんな課題が若者に生じるのか、どんな支援が効果的なのか、そもそもそれは支援が必要なのか(自己責任ではないのか)、などなど、価値観が多様化しています。多様化自体はもちろん悪いことではないのですが、それによって支援が困難になっているのは間違いありません。
これが、私の考えた、韓国の支援が日本に比べてとっても手厚い理由(の一つ)です。
次に、韓国の機関連携がとってもうまくいっている理由は、やはり共同体意識が顕在だからだというのが行ってみての印象です。
「親しき仲にも礼儀あり」の日本に対して、信頼できる相手ならどんどん懐に踏み込むことを良しとする国民性は、支援機関同士のネットワークを作るうえでは、本当に有利に働くだろうなと思いました。
一緒に仕事をして、一緒に飯を食い、たらふく酒を飲む、それで連携の出来上がり、だそうです。
私は、夜の接待(やらしい意味ではなく)が全くと言ってよいほどできない人間なので、「仕事の相手からは、仕事で信頼を得る」というのを半ば言い訳に、半ばポリシーにしてきたのですが、これからは少し「呑んで分かり合う」みたいなことも大切にした方が良いのかなぁ、なんて今も迷っています。
皆さんはどう思います?
まぁ、そんなこんなで「韓国ってすごい!勉強になる!」と思った反面、韓国でも価値観の多様化、若者の共同体離れが進んでいると聞いたので、近い将来、彼らが日本の支援現場に学びに来る日が来るだろうなとも感じました。
「つべこべ言わずに勉強しろ!」が通用しなくなり、他者と深く交わることをわずらわしく思う若者が増えてきたとき、今のままの支援体制では通用しないことは明らかですから。
また、発達障害というフレーズも徐々に無視できなくなってきているらしく、その辺も含めて、日本がこれまで直面してきた課題が、韓国ではこれから訪れるのかも知れません。
強固なネットワークが既にできあがっている韓国が、これから訪れるであろう「日本的な若者課題」をどう乗り越えるのか、とっても興味深いところですし、そこにお互いの学びのポイントがある気がします。
以上、全ては書ききれませんが、韓国の支援業界の印象はそんな感じです。
最後に、食事について少しだけ触れておきます。
何せ私の舌は辛いものと相性が悪いので、韓国行きは実はちょっと憂鬱でした。漢字で書けば、「つらい」と「からい」は一緒ですからね。
初日に到着した空港で「ユッケジャン」を食べたときには、「この先一週間、俺は何も食べられないんじゃないだろうか・・」と腹を括りました。
でも結果的には「韓国の飯はうまい!」というのが感想です。
何しろ、お迎えしてくれた韓国の青少年支援施設の所長さんが、一週間ずぅっともてなしてくれまして、毎朝ホテルまでお迎え、昼は毎日ご馳走(とお酒)、夜も毎日ご馳走(とお酒)の日々でした。
テーブルの上に並ぶ皿の数は半端じゃなく、その中には辛くないものもいくつかあったので、おかげで一週間ずっと満足&満腹でした。
この所長さんには、感謝でいっぱいです。
他にも、こんな素晴らしい機会を下さった北海道大学の先生、一緒に回った素晴らしいメンバーには本当に感謝です。
調査旅行にお誘い下さった「マイペースなプロフェッサー」、韓流に夢中で日本での毒舌ぶりも控えめだった「お茶目なドクター」、通訳から現地案内までお世話になりっぱなしの「キュートな留学生」、つがれるお酒を分け合うことで苦楽を共にした「ナイスガイな研究員」、本当にありがとう!
あ、一週間もの留守をフォローしてくれた職場のみんなにも、ついでに感謝です、ハイ。
スタッフ 松田