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大学教授ってやつは・・・

土, 2009-01-31 17:43 | saposute

先日、とある大学教授の講演を聞いてきました。若者の労働問題を取り扱ったもので、私たちのような現場の人間は「教授とか研究者とかは、結局のところ現場のリアルを分かってないよな」と言いがちなのですが、ところがどっこい「まさにわが意を得たり」という内容でした。

私たちが普段肌で感じていることを、データや調査をもとにスッキリと表現されていて、とても分かりやすかったので、その中から3点ほど、皆さんにも講演内容のおすそ分けをします。

①自己責任論について
私はよく「無業状態に陥った責任が若者自身にあるかないか」という質問に対しては、「100%彼らの責任でもないし、100%社会が悪いというわけでもない」という答えかたをしています。
講演ではこの考えをさらにクリアにして「自己の社会的責任」という言葉で表現されていました。
平たく言うと、「今の状態に陥っているのは、あなたの責任ではありません。でも、若者がそんな状態に陥るような社会を作っていることについては、あなたにも責任の一端がありますよ」というものです。
前に、若者はもっと政治に関心を持つべきだ!と私も書きましたが、より良い社会を作っていく責任は若者(特に今の社会の生き辛さを肌で理解している若者)にあると言えます。
「自己の社会的責任」というネーミングだけでは分かりにくいのが惜しいところですが、内容に関しては私の言いたかったことをスッキリ表された感じがして、嬉しいやら悔しいやら、でした。


②日本における正規雇用と非正規雇用の違い
これについては、もともと別な教授が発表された言葉だそうですが、両者の違いを端的に表していて面白かったので、紹介します。

正社員は  「membership without job」
非正社員は 「job without membership」

つまり、正社員は組織の一員(membership)として迎え入れられ、とりあえずの安全は保証される。でも、without job なので、明確な仕事は決まっていなくて、そのつど会社に命令された仕事に従事してもらうよ、ということらしいです。
一方で非正社員は明確な仕事(とそれに対する給料)は与えられるけど、without membership なので、そのお給料で本人が生活していけるのかどうかとか、あなたの人生全体については知ったこっちゃないよ、ということ。

で、それの何が問題かと言うと、人にはほどほどのメンバーシップとほどほどのジョブが必要なのに、日本の場合はそれがとても偏っているということだそうです。
正社員は仕事内容も残業も転勤も会社の言いなりにならないといけなくて大変。
非正社員は生活の安全が保証されないうえ、決められた仕事(しかもほとんど単純作業)だけしかする機会がないのでキャリア形成が困難。

これについては、新しい考え方を知ったというよりは、英語で表現すると両者の対比が分かりやすいなと思って、勉強になりました。


③学校と仕事との関係
国際比較においても、日本の学校は仕事と乖離していることが証明されているそうです。
つまり、学校の授業で学ぶコトと、社会に出てから役立つコトとに大きなズレがある。今までの日本社会では、社会に出てから必要なことは会社がイチから教えてくれたし、学校の終わり(3月31日)と仕事の始まり(4月1日)が繋がっていたのでそれでも問題なかったけれど、今の社会ではそうはいかない。
それがなぜ問題かと言うと、在学中に正社員の内定をとってから卒業した人と、そうでない人とで、その先の人生が決定的に変わってくる。仮に敗者という言葉を使うなら「敗者復活」のチャンスがあまりに少ないわけです。
私は、この辺りの問題意識は現場も学者さんも同じなんだなぁと思って聞いていました。


以上、データから読み取る学者さんと、肌で感じ取る現場の私たちとが、意外と同じ考えを持っていることに嬉しくなってしまったスタッフの松田でした。
・・・自分は現場が性に合っていると思っているのですが、実は深層心理で学者への憧れでもあるのでしょうか?!